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身体は「治す」のではなく、適応できる状態へ|クラシカルオステオパシーの学び

クラシカルオステオパシー第3回セミナーの様子|回復できる身体とは何か

こんにちは!

UNITYボディコンディショニングの山崎です!

名古屋市東区芳野・森下駅近くで、
不調や痛みの改善を目指した
ボディコンディショニングサロンを運営しています。

目次

はじめに

今回で、クラシカルオステオパシーを学ぶ機会は3回目となりました。

学びを重ねる中で、私自身の身体の見方や施術に対する考え方も少しずつ変化しています。

今回特に深く考えるきっかけになったのが、ホメオスタシス・アロスタシス、そしてリンパを含めた体液循環です。

これまでも、痛みがある場所だけではなく、姿勢や動作、呼吸、関節、筋膜など身体全体を評価してきました。

しかし、それは単に「全身がつながっているから」というだけではありません。

私たちの身体は、外部から入ってくるさまざまな刺激を受け取り、その情報に応じて神経・循環・内分泌・免疫・運動器などを変化させながら、身体の状態を調節しています。

つまり大切なのは、

「悪い場所を探して元に戻すこと」だけではなく、その人自身の身体が変化に反応し、適応し、回復できる状態にあるかを見ること。

クラシカルオステオパシーを学び続ける中で、この考え方をこれからの施術の大きな軸にしていきたいと考えるようになりました。

私たちの身体は、常に「調整」されています

ホメオスタシスとは、日本語で「恒常性」と呼ばれる身体の仕組みです。

体温、血圧、血糖値、体液量、浸透圧、pH、電解質など、生命活動に必要な内部環境を一定の範囲に保っています。身体では神経系・内分泌系・免疫系など、複数のシステムが連携してこの調節を行っています。

ただし、健康とは「身体がずっと同じ状態であること」ではありません。

運動をすれば心拍数は上がります。
寒ければ血管を収縮させ、筋肉を震わせて熱を作ります。
暑ければ発汗して体温を調節します。

つまり身体は、

変化しないことで安定しているのではなく、必要に応じて変化することで安定を保っています。

その調節は、大きく考えると、

感知する
↓
判断する
↓
反応する

という流れで行われます。

身体の受容器が変化を感知し、その情報を神経系などで処理し、筋肉・血管・内分泌系などが反応します。

この仕組みは、手技療法を考える上でも非常に重要です。

変化することで安定する「アロスタシス」

ホメオスタシスと合わせて重要なのがアロスタシスです。

アロスタシスとは、環境やストレスの変化に対して身体の状態を変化させながら、全体の安定を維持する仕組みです。

仕事で緊張すれば筋肉の緊張や心拍が変わる。

運動をすれば呼吸や循環が変わる。

新しい環境に入れば、神経系もその状況に合わせて反応する。

こうした変化は、身体に問題が起きているから生じるわけではありません。

その環境に対応するために必要な正常な反応です。

だから「ストレスを感じない身体」を目指すことが健康なのではなく、

必要なときには反応し、状況が変わればまた別の状態へ切り替えられること

が重要だと考えます。

問題は「頑張ること」ではなく、戻る余裕がなくなること

一時的に身体が緊張したり、交感神経活動が高まったりすること自体が悪いわけではありません。

しかし強い負荷が繰り返されたり、反応が必要以上に長く続いたりすると、身体はその状態に適応するために多くのエネルギーを使い続けることになります。

このように適応を続けることで生じる累積的な負担を、アロスタティックロードと呼びます。

物理的・肉体的・生理的・心理的なストレスなどが重なり、その人が対応できる範囲を超えていくと、これまで対応できていた刺激にも適応しにくくなる可能性があります。

だから施術でも、

「どこが悪いのか?」

だけを考えるのではなく、

「今の身体には、変化へ対応できる余裕がどれくらい残っているのか?」

という視点を大切にします。

クラシカルオステオパシーで考える「3A」

身体の状態を考えるうえで、クラシカルオステオパシーには3Aという視点があります。

それが、

Agency(行動する能力)
Adaptation(適応する能力)
Allostatic load(蓄積した負荷)

です。

Agencyは、身体を動かし、行動できる能力。

Adaptationは、身体が構造・機能・環境の変化に対応する能力。

Allostatic loadは、物理的・肉体的・生理的・心理的なストレスなど、身体が適応してきた結果として蓄積した負担を考える視点です。

例えば同じ腰痛でも、

「腰の筋肉が硬い」

という事実だけを見るのではありません。

その人が、

身体を曲げられるか。
呼吸しながら動けるか。
力を入れたり抜いたりできるか。
違う動き方へ切り替えられるか。

さらに、

仕事、睡眠、運動量、痛みが続いている期間なども含めて、身体がどれくらい変化に対応できる状態なのかを考えていきます。

つまり症状そのものだけでなく、

「今の身体にどれくらい選択肢が残っているか」

を見るということです。

手技は「身体を正しい位置に戻す」だけではありません

では、実際に手で触れたり身体を動かしたりすることで、何をしようとしているのでしょうか。

私は、手技を単純に

「骨を正しい位置に戻す」
「硬い筋肉をほぐす」

だけのものとは考えていません。

身体は外から入ってきた刺激を受け取り、その情報に応じて反応します。

先ほどお伝えした、

感知
↓
判断
↓
反応

という仕組みです。

皮膚、筋肉、関節などに触れたり動かしたりすることも、身体にとっては一つの刺激になります。

その刺激が感覚情報として神経系へ伝わり、それに対して身体が新しい反応を起こす可能性があります。

そのため施術では、

「施術者が一方的に身体を変える」

のではなく、

「身体が変化するきっかけとなる刺激を与える」

という考え方を大切にしています。

身体が「違う反応」を選べることが大切

痛みが長く続いていると、

「また痛くなるかもしれない」

という経験から、身体が動きを小さくしたり、筋肉を緊張させたりすることがあります。

それは身体を守るための反応でもあります。

だから、その反応自体を「悪いもの」として取り除くのではありません。

大切なのは、

必要なときには身体を守り、必要がなくなれば別の反応へ切り替えられること。

例えば、

力を入れるだけでなく抜ける。
身体を固めるだけでなく動ける。
痛みを避けるだけでなく、少しずつ新しい動きを試せる。

こうして身体が持つ「選択肢」が増えていくことを大切にしています。

なぜ「リンパ」や「体液」まで見るのか

今回、私自身が特に重要だと感じたのが体液環境です。

身体の細胞は、血管の中に直接存在しているわけではありません。

細胞の周囲には間質と呼ばれる空間があり、その中を間質液が満たしています。

細胞はこの間質液を介して、酸素や栄養などを受け取り、代謝によって生じた物質などを受け渡しています。

つまり筋肉や神経が働くためにも、

その細胞が置かれている周囲の環境

が重要になります。

そして、この体液環境を維持するうえで重要な働きをしているのがリンパ系です。

リンパ系には、過剰な間質液やタンパク質などを回収する役割のほか、免疫監視や脂質の輸送などの役割があります。

だから私は、

筋肉や関節だけでなく、その組織を取り巻いている環境まで考える

という視点を大切にしたいと思っています。

リンパは「押せば流れる」だけのものではありません

リンパというと、

「強く押して流す」

というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかしリンパ液の移動には、いくつもの仕組みが関わっています。

リンパ管自体にも平滑筋があり、自発的に収縮してリンパを運ぶ働きがあります。

さらに、

動脈の拍動
呼吸による圧変化
筋肉の動き
中心静脈圧
消化管の動き

などもリンパ輸送に関わります。

そのため私は、

「ここを押せばリンパが流れる」

という単純な考え方ではなく、

リンパや体液が移動しやすい条件を身体全体から整える

という視点を持っています。

だから胸郭・呼吸・脊柱・四肢まで見る

リンパや静脈などの体液循環を考えると、痛みがある場所だけを触ればよいわけではありません。

例えばリンパ輸送には、筋肉の活動や胸郭内の圧変化が関係します。

そのため、

胸郭がしっかり動くか。
肋骨が呼吸に合わせて動けるか。
横隔膜が働ける状態か。
脊柱や四肢が十分動けるか。

といったことも評価する必要があります。

クラシカルオステオパシーでは、胸壁や腹壁への働きかけ、四肢や脊柱・頸部の運動などを用いて、身体の動きと体液循環を一緒に考えます。

つまり、

「肩が痛いのになぜ胸郭を触るの?」
「腰痛なのになぜ呼吸を見るの?」

ということにも理由があります。

身体は一つの部位だけで働いているわけではないからです。

手技によって何を変えようとしているのか

ここまでを整理すると、手技によって直接「病気を治す」というよりも、

身体が本来行っている調節を邪魔している条件を減らす

ことを目指している、と考えると分かりやすいと思います。

例えば、

関節が動きにくければ、動きやすい状態をつくる。

胸郭が硬く呼吸運動が小さければ、呼吸しやすい状態をつくる。

筋肉が常に緊張していれば、違う反応を選べる刺激を与える。

身体の動きが小さければ、運動によるポンプ作用が働きやすい状態をつくる。

こうした変化を重ねることで、

身体が刺激を受け取り、適応し、次の反応へ移れる余裕をつくること

を目指します。

「自律神経を整える」「免疫力を上げる」とは考えていません

ここは大切なので、あえて書いておきたいと思います。

身体のホメオスタシスには、自律神経・内分泌・免疫など多くのシステムが関係しています。

また、自律神経系と免疫細胞の動きが関連していることも知られています。今回の資料でも、交感神経系とリンパ球・好中球などの動態との関係が整理されています。

しかし、

「この手技をすれば免疫力が上がる」
「自律神経を正常化できる」

と単純に言えるわけではありません。

身体はもっと複雑です。

だからこそ、

特定の一つのシステムを操作するのではなく、身体全体が反応しやすい条件を整える。

私はそのように考えています。

目指すのは「正しい身体」ではなく、「適応できる身体」

身体には一つの正しい姿勢や、一つの正しい動きがあるわけではありません。

仕事をするとき。
運動するとき。
休むとき。
緊張するとき。
リラックスするとき。

必要な身体の状態は、それぞれ違います。

だから施術で目指したいのも、

「この形が正解です」

という身体ではありません。

必要なときには力を出せる。

必要がなくなれば力を抜ける。

動き方を変えられる。

環境が変わっても対応できる。

そして負荷がかかったあとには回復できる。

そんな適応できる身体です。

3回目の学びを、これからの施術へ

今回で、クラシカルオステオパシーを学ぶのは3回目となりました。

回を重ねるほど、

「どこの筋肉が硬いのか」
「どこの関節がずれているのか」

という局所的な視点だけではなく、

その人の身体が今どのような環境に適応し、どのような反応を続けているのか

を見ることの大切さを感じています。

もちろん、痛みを改善することは大切です。

ただ、その先にある、

動ける。
変化できる。
適応できる。
そしてまた回復できる。

というところまで考えたい。

今後は、このクラシカルオステオパシーの考え方を、私自身の施術の大きな軸として取り入れていきたいと思っています。

まとめ

身体は、常に外部環境や内部環境の変化を受けながら生きています。

その中で、

変化を感知し、
必要な反応を起こし、
環境に適応し、
また回復する。

こうした身体本来の働きを考えることが、ホメオスタシスやアロスタシスを臨床で考える意味だと思います。

施術者が身体を一方的に治すのではありません。

その人自身の身体が、もう一度適切に反応できる条件を整える。

痛みだけを追いかけるのではなく、

痛みの先にある「やりたい」を支えられる身体へ。

これからも学びを深めながら、一人ひとりの身体に合わせた施術につなげていきます。

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