「血流を良くする」とは?|クラシカルオステオパシーから考える血液の“行き”と“帰り”

こんにちは!
UNITYボディコンディショニングの山崎です!
名古屋市東区芳野・森下駅近くで、
不調や痛みの改善を目指した
ボディコンディショニングサロンを運営しています。
はじめに
前回の記事では、クラシカルオステオパシーにおける「健康」について書きました。
健康とは、単に痛みや病気がないことではなく、身体が変化に対応しながら、全体としてバランスを保てている状態。
そして、その健康を支えるうえで大切になるのが、今回取り上げる「循環」です。
「血流を良くする」という言葉は、整体や運動、健康に関する場面でもよく使われます。
しかし、血流と聞くと、
「心臓から血液が送り出されること」
「筋肉に酸素や栄養が届くこと」
といった、血液の“行き”を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
今回のセミナーで印象に残ったのは、循環は血液を送り届けることだけでは成り立たない、という考え方でした。
今回は、血液の“行き”だけでなく、“帰り”にも目を向けながら、身体の循環について考えていきます。
血液には「行き」と「帰り」がある
心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身へ運ばれます。
そして、細い血管である毛細血管を通して、組織へ酸素や栄養を届けます。
その後、血液は静脈を通って心臓へ戻っていきます。
つまり、循環には大きく分けて、
- 心臓から全身へ向かう“行き”
- 全身から心臓へ戻る“帰り”
があります。
心臓は、血液を全身へ送り出す中心的なポンプです。
ただし、身体の循環は心臓だけで完結しているわけではありません。
静脈、リンパ管、血管の収縮や拡張、筋肉の動き、呼吸による圧力変化など、さまざまな仕組みが関係し合っています。
“行き”と“帰り”がつながることで、初めて一つの循環になります。

血液が届くだけでなく、戻ることも大切
酸素や栄養を届ける動脈の働きは、身体にとって欠かせません。
一方で、組織の中に入ってきたものが、再び静脈やリンパを通って戻っていくことも大切です。
道路に例えると、目的地へ向かう道が空いていても、帰る道が混雑していれば、全体の流れはスムーズに進みません。
身体でも同じように、動脈によって血液が送り届けられることと、静脈やリンパによって戻っていくことは、別々ではなく一つの流れとして考える必要があります。
「血流を良くする」とは、単に血液を強く送り込むことではありません。
血液が組織へ届き、静脈やリンパを通って戻っていく。
この両方が保たれていることが、身体の循環を考えるうえで大切です。

血管の外にも身体の水分は存在する
身体の水分は、すべて血管の中にあるわけではありません。
毛細血管から組織側へ移動した水分は、細胞と細胞の間を満たす「間質液」と呼ばれる液体になります。
間質液は、細胞へ酸素や栄養を届けたり、細胞から出た物質を運んだりするための環境をつくっています。
そして、組織内の余分な水分やタンパク質などの一部はリンパ管に回収され、最終的には血液へ戻ります。
このバランスが崩れて、組織の中に水分が必要以上にたまった状態が「浮腫」、一般的にいう“むくみ”です。
ただし、むくみの原因は一つではありません。
血管内の圧力、炎症による血管透過性の変化、リンパ系の問題、血液中のタンパク質、心臓や腎臓など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「むくんでいるから流せばよい」と単純に考えるのではなく、なぜその状態が起きているのかを見極める必要があります。
呼吸も循環に関わっている
呼吸というと、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する働きを思い浮かべると思います。
しかし、呼吸はそれだけではありません。
息を吸ったり吐いたりすると、横隔膜が動き、胸郭や腹部の圧力が変化します。
この圧力変化は、静脈を通って血液が心臓へ戻る働きにも関係しています。
深く呼吸すれば、すべての不調が改善するという意味ではありません。
ただ、呼吸が浅くなり、胸郭や横隔膜の動きが小さくなっている場合、呼吸が本来持っている循環を支える働きも十分に使われにくくなる可能性があります。
だからこそ身体を見るときには、痛みが出ている場所だけでなく、
- 呼吸の深さ
- 胸郭の動き
- 横隔膜周辺の動き
- 姿勢による圧力の変化
なども確認することが大切だと考えています。
筋肉や関節の動きも「帰り道」を支えている
静脈を通る血液が心臓へ戻るためには、筋肉の収縮も関係します。
特に下半身では、歩くときにふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、静脈の血液が心臓の方向へ戻るのを助けています。
これは「筋ポンプ」と呼ばれる働きです。
また、関節が動くことで筋肉も適切に働きやすくなります。
実際に、健康な人を対象にした研究でも、歩行中の筋活動や関節の動きが、下肢静脈からの血液の戻りに関係することが報告されています。
だからといって、「身体が硬い=循環が悪い」と単純に決めつけることはできません。
大切なのは、どの関節が動きにくいのか、どの筋肉が過剰に緊張しているのか、歩行や呼吸の中で身体全体がどのように連動しているのかを確認することです。

痛みと循環を単純に結びつけない
循環は、組織の状態を保つために重要です。
しかし、痛みがあるからといって、すべてを「血流が悪いから」と説明することはできません。
痛みには、
- 組織への負荷
- 関節や筋肉の状態
- 神経からの情報
- 睡眠や疲労
- ストレスや不安
- 過去の経験や痛みに対する考え方
など、さまざまな要素が関係します。
循環は、その中の一つの視点です。
一つの原因だけですべてを説明するのではなく、身体全体の状態を確認しながら、その方にとって何が関係しているのかを整理することが重要だと考えています。
なぜ痛い場所だけを見ないのか
例えば、腰に痛みがある場合でも、確認するのは腰だけではありません。
股関節や骨盤の動き、胸郭の動き、呼吸、立ち方、歩き方なども確認します。
それは、「腰痛の原因は必ず別の場所にある」と考えているからではありません。
身体は、それぞれの部分が独立して動いているのではなく、全体が関係し合いながら一つの動作をつくっているからです。
一つの関節が動きにくくなれば、別の場所がその動きを補うことがあります。
呼吸が浅くなれば、胸郭や首まわりの筋肉が過剰に働くこともあります。
痛みが出ている場所はもちろん確認しますが、その場所だけに答えを求めず、身体全体のつながりを見ていく。
今回の循環に関する学びは、僕が施術で大切にしている考え方にもつながっています。
UNITYで大切にしていること
UNITYでは、施術によって血液やリンパを直接「流す」とは考えていません。
身体の状態を確認せずに、強く押したり、むくんでいる場所を一方的に流したりすることが、すべての方に適しているわけではないからです。
まずは問診や姿勢、関節の動き、呼吸、実際の動作を確認します。
そのうえで、筋肉・関節・筋膜・神経などへ必要な施術を行い、身体が無理なく動きやすい状態を目指します。
施術後には、最初に確認した動きがどのように変化したのかを再評価します。
「全身はつながっている」という言葉だけで終わらせず、
評価する
施術する
もう一度確認する
という流れを大切にしています。

むくみで注意したい症状
むくみには、整体よりも先に医療機関での確認が必要な場合があります。
特に、
- 急に片脚だけが腫れた
- 腫れとともに痛み・赤み・熱感がある
- 息苦しさや胸の痛みを伴っている
- むくみが強くなり続けている
といった場合は、自己判断せず、速やかに医療機関へ相談してください。
まとめ
身体の循環は、心臓から血液を送り出すことだけでは成り立ちません。
動脈によって酸素や栄養が届けられ、静脈やリンパによって血液や組織の水分が戻っていく。
さらに、筋肉の働き、関節の動き、呼吸による圧力変化なども、その循環を支えています。
今回の学びを通して改めて感じたのは、身体の一部分だけを切り取って考えることの難しさです。
痛い場所を見ることは、もちろん大切です。
ただ、その場所だけにとらわれず、身体全体がどのように動き、どのように適応しているのかを見る。
これからも、クラシカルオステオパシーで学んだことを整理しながら、日々の施術へ丁寧に落とし込んでいきたいと思います。
▶︎クラシカルオステオパシーの健康とはなにか、疾患はどのように進むかについてはこちらで解説しています。

