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膝の内側が痛い原因は「鵞足炎」?階段・歩行で痛む理由を解剖学から解説

こんにちは!
UNITYボディコンディショニングの山崎です!

名古屋市東区芳野・森下駅近くで、
不調や痛みの改善を目指した
ボディコンディショニングサロンを運営しています。

目次

はじめに|膝の内側の痛み、原因は関節だけではない?

「階段を上り下りすると、膝の内側が痛い」

「長時間歩くと、膝の内側から少し下に痛みが出る」

「病院で検査を受けたけれど、骨には異常がないと言われた」

このようなお悩みはありませんか?

膝の内側が痛むと、半月板の損傷や軟骨のすり減り、変形性膝関節症などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

しかし、膝の内側には関節以外にも、筋肉の腱や靱帯、滑液包(かつえきほう)など、さまざまな組織が存在しています。

その中でも、今回注目するのが「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分です。

鵞足は、膝の内側から少し下に位置し、3つの筋肉の腱が集まる場所です。

この部分の痛みは、ランニングなどのスポーツ活動だけでなく、日常的な歩行や階段昇降でもみられ、変形性膝関節症のある方にも生じることがあります。

さらに、鵞足を構成する筋肉は骨盤や股関節から膝へとつながっています。

そのため、膝の内側に痛みがあっても、膝だけでなく、股関節や足関節を含めた身体全体の動きが重要な手がかりになる場合があります。

今回は、鵞足の解剖学的な特徴や筋肉の働き、痛みが生じるメカニズム、改善に向けて大切なポイントについて、医学的な研究をもとにわかりやすく解説していきます。

1.鵞足(がそく)とは?

鵞足とは、膝の内側から少し下にある、3つの筋肉の腱が集まって脛骨(すねの骨)に付着する部分です。

具体的には、次の3つの筋肉で構成されています。

  • 縫工筋(ほうこうきん)
  • 薄筋(はっきん)
  • 半腱様筋(はんけんようきん)

これらの筋肉は、それぞれ異なる場所から始まり、太ももを通って膝の内側に集まります。

腱が扇状に広がって付着する様子が、ガチョウの足に似ていることから「鵞足」と呼ばれています。

鵞足の付着部は、膝の関節のすき間より少し下に位置しています。

この場所は、膝の曲げ伸ばしだけでなく、股関節の運動や、膝を曲げた状態でのすねの回旋にも関係しています。

つまり、膝の内側にある組織でありながら、股関節から膝にかけての動きにも関わっているのです。

鵞足部のイラスト図

※鵞足部のイラスト図

2.鵞足を構成する3つの筋肉の役割

鵞足を構成する3つの筋肉は、それぞれ異なる場所から始まり、異なる働きを持っています。

① 縫工筋|股関節と膝関節をつなぐ筋肉

縫工筋は、骨盤の前側にある上前腸骨棘から始まり、太ももの前面を斜めに走って鵞足に付着します。

人体の中でも特に長い筋肉の一つです。

主な働きは、

  • 股関節の屈曲(太ももを持ち上げる)
  • 股関節の外転(脚を外側へ開く)
  • 股関節の外旋(太ももを外側へ回す)
  • 膝関節の屈曲(膝を曲げる)

などです。

例えば、椅子に座って足を組むような動作には、縫工筋の働きが関係しています。

② 薄筋|太ももの内側から膝へつながる筋肉

薄筋は、骨盤の恥骨付近から始まり、太ももの内側を通って鵞足に付着します。

主な働きは、

  • 股関節の内転(脚を内側へ寄せる)
  • 膝関節の屈曲
  • 膝を曲げた状態での下腿内旋(すねを内側へ回す)

です。

薄筋は股関節と膝関節の両方をまたぐ筋肉です。

そのため、股関節の位置や動きによって筋肉の長さや張力が変化し、膝の内側に伝わる力にも影響します。

③ 半腱様筋|太ももの後ろから膝を支える筋肉

半腱様筋は、太ももの裏側にあるハムストリングスの一つです。

骨盤の坐骨結節から始まり、膝の内側にある鵞足へとつながっています。

主な働きは、

  • 股関節の伸展(脚を後ろへ動かす)
  • 膝関節の屈曲
  • 膝を曲げた状態での下腿内旋

です。

歩行や階段昇降など、日常生活のさまざまな動作で活動します。

3つの筋肉に共通する特徴

これらの筋肉は、始まる位置も役割も異なります。

しかし、最終的にはすべて膝の内側に集まって付着しています。

そのため、股関節や膝関節の動きによって、それぞれの筋肉にかかる張力が変化します。

膝の痛みだからといって、膝だけを評価すれば十分とは限らない理由の一つです。

3.鵞足炎とは?実は腱だけの問題ではない

鵞足部には、3つの筋肉の腱だけでなく、**「鵞足滑液包(がそくかつえきほう)」**という組織も存在します。

滑液包とは、腱と骨などの組織の間にあり、互いの動きを妨げにくくする役割を持つ袋状の構造です。

イメージとしては、動く組織同士の間にある小さなクッションのようなものです。

鵞足滑液包は、鵞足腱と、その深部にある脛骨や内側側副靱帯周辺との間に位置しています。

この周辺に繰り返し負荷が加わることで、腱や滑液包に痛みが生じる場合があります。

一般的には「鵞足炎」と呼ばれますが、実際には、

  • 鵞足腱の障害
  • 鵞足滑液包の炎症
  • 周辺組織の問題

などが関係している可能性があります。

つまり、鵞足付近に痛みがあるからといって、必ずしも滑液包に炎症が起きているわけではありません。

2024年に発表された鵞足症候群の包括的レビューでも、鵞足部の腱障害と滑液包炎を明確に区別することの難しさが指摘されています。

そのため、痛みのある場所だけで判断せず、症状や身体所見などを総合的に確認することが大切です。

4.なぜ鵞足部に痛みが生じるのか?

鵞足部の痛みには、さまざまな要因が関係すると考えられています。

① 繰り返される運動負荷

歩行やランニング、階段昇降では、膝の曲げ伸ばしが繰り返されます。

それに伴って、鵞足を構成する筋肉も活動します。

例えば、

  • 普段より長い距離を歩いた
  • 急にランニングの距離を増やした
  • 坂道や階段の多い場所を歩いた
  • 久しぶりに運動を再開した

こうした状況では、身体が慣れていない負荷が加わることがあります。

筋肉や腱は、運動による負荷に適応する能力を持っています。

しかし、運動量が急激に増加すると、組織が十分に適応できず、痛みにつながる可能性があります。

重要なのは、運動そのものが悪いのではなく、身体が耐えられる負荷とのバランスです。

② 腱と周辺組織に加わる圧迫や摩擦

膝を動かす際には、鵞足を構成する腱の張力や位置関係が変化します。

また、腱と周辺組織は、互いに接しながら動いています。

こうした運動に伴う機械的な負荷が、鵞足部の症状に関係する可能性があります。

ただし、ここで知っていただきたいのは、組織同士が動いたり、接触したりすること自体は異常ではないということです。

私たちの身体では、日常的に筋肉や腱などが互いに動いています。

問題となるのは、組織の状態や負荷の大きさなどによって、その動きが痛みにつながる場合があることです。

なお、鵞足部の痛みが必ず摩擦によって発生するというわけではなく、詳細な発生機序については、まだ十分に解明されていない部分もあります。

③ 股関節や足関節の動きとの関係

膝関節は、股関節と足関節の間に位置しています。

そのため、歩行や階段昇降、スクワットなどの動作では、膝だけでなく股関節や足関節の動きも関係します。

例えば、片脚に体重を乗せたとき、股関節の動きや体幹の位置によって、膝に加わる力の方向が変化することがあります。

また、足関節の動きや足部の接地方法も、下肢全体の運動に関係します。

こうした身体の使い方は、膝に加わる負荷を考えるうえで重要な手がかりになります。

ただし、膝が内側に入ることや足部が回内することが、そのまま鵞足炎の原因になると証明されているわけではありません。

大切なのは、姿勢の見た目だけで判断するのではなく、実際にどのような動作で痛みが生じるのかを確認することです。

④ 変形性膝関節症との関係

鵞足部の痛みは、変形性膝関節症のある方にもみられます。

2015年に発表された研究では、症状のある変形性膝関節症患者の約5人に1人に、超音波検査で鵞足滑液包炎が確認されました。

これは、変形性膝関節症のある方の膝の内側痛が、必ずしも関節そのものだけから生じているとは限らないことを示唆しています。

ただし、変形性膝関節症と鵞足部の問題が併存していても、どちらが主な痛みの原因なのかは慎重な評価が必要です。

「軟骨がすり減っているから痛い」と、すべての膝の痛みを説明できるわけではないのです。

5.このような症状はありませんか?

鵞足部の痛みでは、次のような症状がみられることがあります。

  • 膝の内側から少し下を押すと痛い
  • 階段を上り下りすると膝の内側が痛む
  • 長時間歩いたあとに痛みが出る
  • ランニング中や運動後に痛くなる
  • 膝の内側の特定の場所に痛みを感じる

特に鵞足部は、膝の内側の関節のすき間よりも少し下に位置しています。

この位置の違いは、痛みの原因を考えるヒントになります。

ただし、これらの症状が当てはまっても、鵞足炎と確定できるわけではありません。

似た症状を示す疾患もあるため、必要に応じて医療機関での検査を受けることが大切です。

6.膝の内側が痛い=鵞足炎とは限らない

膝の内側には、鵞足以外にも痛みの原因となる組織が存在します。

① 内側半月板損傷

膝関節の内側にある半月板の損傷です。

関節のすき間付近の痛みや、膝の引っかかり、腫れなどを伴うことがあります。

② 内側側副靱帯損傷

膝の内側を支える靱帯の損傷です。

スポーツ中の接触や、膝に外反方向の力が加わったあとなどに生じる場合があります。

③ 変形性膝関節症

関節軟骨だけでなく、軟骨下骨や滑膜、半月板など、関節全体の変化が関わる疾患です。

膝の痛みやこわばり、動かしにくさなどを伴う場合があります。

④ 脛骨の疲労骨折・骨のストレス障害

運動量の急激な増加などに伴って、脛骨に繰り返し負荷が加わることで生じる場合があります。

鵞足部周辺の痛みと紛らわしいこともあり、注意が必要です。

痛みの場所だけでは判断できない

鵞足部の腱・滑液包障害に関する研究では、臨床症状による診断とMRI所見が十分に一致しないことも報告されています。

2021年に発表された研究では、MRI所見を基準とした臨床診断の感度は41.2%、特異度は59.5%でした。

つまり、痛む位置や圧痛だけで鵞足炎と判断することには限界があるということです。

痛みが出始めた経緯や、腫れの有無、動作による症状の変化などを総合的に評価することが大切です。

7.鵞足部の痛みを改善するために大切なこと

鵞足部の痛みに対しては、負担の調整や運動療法などが一般的に用いられます。

ただし、症状や原因によって適切な対応は異なります。

① 痛みを増やしている負荷を見直す

例えば、ランニングを始めてから痛みが出た場合、距離や頻度、坂道の有無などを確認することが大切です。

階段の上り下りで痛む場合は、日常生活でどの程度の負荷が繰り返されているのかを把握します。

必ずしもすべての運動を中止する必要はありません。

痛みが強くなる活動を一時的に調整し、状態に合わせて運動量を増やしていくことが役立つ場合があります。

② 筋肉の柔軟性や筋力を評価する

鵞足は、縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱によって構成されています。

そのため、これらの筋肉を含む下肢の柔軟性や筋力、運動時の負荷を確認することが考えられます。

ただし、筋肉が硬いから必ず鵞足炎になるわけではありません。

また、痛みがある部分を強く押したり、無理にストレッチしたりすることが、必ずしも改善につながるとは限りません。

③ 膝だけでなく、全身の動作を確認する

歩行や階段昇降では、股関節・膝関節・足関節が連動して働きます。

そのため、鵞足部の症状を考える際にも、膝周辺の組織だけでなく、実際の動作を確認することが重要です。

例えば、

  • 歩行中に痛みが出るタイミング
  • 階段を上るときと下りるときの違い
  • 股関節や足関節の可動域
  • 下肢の筋力や運動のコントロール

などを確認することで、負担を調整するためのヒントが得られる可能性があります。

痛みのある場所だけでなく、痛みが生じる動作や身体の使い方まで確認することが大切です。

8.UNITYでは膝だけでなく、身体全体のつながりを大切にしています

膝の内側に痛みがある場合でも、原因を膝だけに限定して考えることはできません。

鵞足を構成する筋肉は、骨盤や股関節から膝へとつながっています。

また、歩行や階段昇降などの動作では、股関節・膝関節・足関節が互いに関係しながら働きます。

UNITYでは、痛みのある部分の状態に加えて、関節の可動域や筋肉の働き、日常生活での身体の使い方なども確認し、一人ひとりの状態に合わせたコンディショニングを大切にしています。

もちろん、すべての膝の痛みが筋肉や筋膜の問題によって生じているわけではありません。

必要に応じて医療機関での検査や診断を受けることも重要です。

特に、強い腫れや発熱、赤み、体重をかけられないほどの痛み、外傷後の強い症状などがある場合は、医療機関への相談をおすすめします。

まとめ|膝の内側の痛みには、さまざまな原因がある

鵞足は、縫工筋・薄筋・半腱様筋という3つの筋肉の腱が集まる部分です。

その周辺には滑液包も存在し、繰り返される運動負荷や変形性膝関節症などと関連して痛みが生じることがあります。

今回、特に知っていただきたいのは、次の3つです。

① 膝の内側の痛みは、軟骨や半月板だけが原因とは限らない。

② 鵞足部には股関節からつながる筋肉が付着しており、下肢全体の運動と関係している。

③ 痛みの場所だけで判断せず、身体の状態や動作を総合的に評価することが大切。

「膝の内側がなかなか良くならない」

「階段や歩行で痛みが出る」

「膝だけでなく、身体全体の状態も確認してほしい」

このようなお悩みがある方は、UNITYボディコンディショニングまでお気軽にご相談ください。

【参考文献】

  1. Aicale R, et al. Comprehensive review of pes anserinus syndrome: etiology, diagnosis, and management. European Journal of Musculoskeletal Diseases. 2024.
  2. Atici A, et al. Poor Accuracy of Clinical Diagnosis in Pes Anserine Tendinitis Bursitis Syndrome. 2021/2022.
  3. Curtis BR, et al. Pes Anserinus: Anatomy and Pathology of Native and Harvested Tendons. American Journal of Roentgenology. 2019.
  4. Uysal F, et al. Prevalence of pes anserine bursitis in symptomatic osteoarthritis patients: an ultrasonographic prospective study. 2015.
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